論文・レポートが読みやすくなる!読点「、」を打つ場所10のルール
以前の記事「読みやすい論文・レポートを書くための日本語文章術5選」の中で、「読点の位置や数を考える」ことの大切さを挙げました。
今回の記事では、読点を打つべき10の場面をまとめておきます。
① 文の切れ目に打つ
多くの人にとって、一番分かりやすい読点の打ち方です。
「明日の実習では、先週の講義で使った資料が必要です。」
「事前にその資料に目を通し、実習の流れを理解しておいてください。」
② 修飾する文章が長いとき、その後に打つ
「明日の実習で必要な道具の一覧表を送るので、今日中に目を通しておいてください。」
③ 対等な語句を並べるときに打つ
「実習に必要な道具は、資料、ペン、電卓、カメラです。」
④ 接続詞、逆説の助詞の後に打つ
「ところで、先週の講義はどうでしたか?」
「明日は雨の予報ですが、実習は行う予定です。」
⑤ 誤解を避けるために打つ
✖︎「実習現場ではきものを着用してください。」
○「実習現場で、はきものを着用してください。」
「きもの」を着用するのか「はきもの」を着用するのか、読点がないと二通りの意味に取れてしまいます。
⑥ 挿入された語句の前後や文節を区切るときに打つ
「体験教室の申し込み期限は過ぎましたが、定員数を増やしましたので、もう一度申し込みを受け付ける予定です。」
「定員数を増やしましたので」という語句が挿入されています。
⑦ 強調する語の前に打つ
「実習で学んだ精密な解析こそが、今最も求められている技術です。」
読点を打つことで、直後の「今」が目立ち、強調されます。
⑧ 引用を示す「と」の前に打つ
「明日の実習には出席できない、と友人から連絡がありました。」
引用を示すには、このように引用符を使わずに読点を使う方法と、引用符「」でくくる方法があります。
⑨ 感動詞や呼びかけの句の後に打つ
「えっ、本当ですか?」
「まさか、冗談ですよ」
この使い方では、実際に話す場面をイメージすると、読点を打つ場所が分かりやすいです。
⑩ 格助詞を省略したときに打つ
「ご連絡、ありがとうございました。」
「ご連絡」の後に、格助詞の「を」が省略されています。
まとめ
以上が読点を打つ基本的な10のルールでした。会話では読点を意識することはほとんどありませんが、その調子で文章を書いてしまうと、ついつい読点のない、長い文になってしまいがちです。文を書いていて読点を打ったほうがいいか迷ったときは、上の基本ルールを参考にしてみてください。
<参考文献>
『社会人になったらすぐに読む文章術の本』藤吉・小川、2023年、KADOKAWA
この記事を書いた人
田中泰章 博士
Yasuaki Tanaka Ph.D.
プロフィール
環境問題や教育制度などについて広い視点から考える自然科学者。2008年に東京大学大学院で博士号(環境学)を取得した後、東京大学、琉球大学、米国オハイオ州立大学、ブルネイ大学など、国内外の大学で研究と教育に約15年間携わってきました。これまでに30報以上の学術論文を筆頭著者として執筆し、国際的な科学雑誌の査読者として多数の論文審査も行っています。
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