論文・レポートの書き方:構成を考える
論文でもレポートでも、書くときに最初に考えるのは構成(ストーリー)です。何をどういう順番で書いて、最後はどう締めくくるのかという一連のストーリーを、最初に整理する必要があります。
序論や考察など、論文・レポートを構成する各パーツの内容については以前の記事で説明しましたが、今回(そして次回)の記事では実際にそれらを書いていく手順・方法を解説します。序論や考察などで何を書くのか大体決まっていることを前提に書いていきますので、何を書くのか全く決まっていないという方は以前の記事からご覧ください。
項のアウトライン(目次)を作る
一般的に、論文やレポートの序論・方法・結果・考察などの「節」は、複数の「項」で構成されています。目次で言えば次のような関係です。
第1節 序論
1-1. xxx(第1項)
1-2. xxx(第2項)
1-3. xxx(第3項)
序論という「節」の下に「項」があります。
ただし、項が必ず必要というわけではなく、項を設けずに書くこともあります。たとえば学術雑誌に掲載されるような研究論文では、「はじめに」や「Introduction」という節の中に、項が含まれていないことは多くあります。項を作る必要がない場合は、下の「段落アウトライン」に飛んでください。
注)序論・方法・結果・考察などを「章」(たとえば、第1章 序論)として書いている論文やレポートを見かけることがありますが、「章」(英語ではchapter)の定義を考えると、たいていの場合は「節」のほうが適切でしょう。
ある節(上の例で言えば序論)を書き始めるときには、その節の最初から書き始めるのではなく、まず項のアウトラインを作ることが大切です。項ごとに書くことを短くまとめるということです。項は目次にも書かれることが多いので、目次を作る作業といっても良いでしょう。
項のアウトライン(目次)を作ることによって、その節ではどういう順番で何を書き、どのようなストーリーを作ろうとしているのか明確になります。項のアウトラインが整っていなければ、各項を膨らませて作った節全体のストーリーも面白いはずがありません。これはもちろん、序論でも結果でも考察でも言えることです。
まずは項のアウトラインを眺めて、節として論理的で魅力的なストーリーになっているかどうかを確認しましょう。
段落アウトラインを作る
一般的に、節や項は複数の段落で構成されています。問題は複数の段落をどのように組み立てるのかということですが、項のアウトラインを作ったように、まずは「段落アウトライン」を作るのがおすすめです。
段落アウトラインとは、一つの段落で書こうとしている内容を一つの文で表し、段落の数だけ作成した要約文のリストです。
たとえば、序論では次のような5つの内容について記載することを以前の記事で紹介しました。
- 書き出し:読者に背景や基礎知識を提供する
- 問題を提起する・疑問を呈する
- 問題を解決することの重要性(大きな目的)を訴える
- 問題を解決する方法(小さな目的)を提案する
- 仮説を述べる
自分の研究テーマに沿って、上記の5つの内容について1文ずつ書いてみます。なかには、1文で書くのが難しく、2文、3文・・・と書きたくなることがあるかもしれませんが、なるべくコンパクトに書くようにしましょう。長くなればなるほど、文脈をうまく組み立てるのが難しくなるからです。
この段階では、本格的な議論を書こうとするのではなく、あくまで段落のアウトライン(ストーリーの流れ、構成)を確認しながら整えるのが目的です。
今回の記事はここまでです。次回はこの続きとして、「段落を作る」ことについてまとめてみたいと思います。
この記事を書いた人
田中泰章 博士
Yasuaki Tanaka Ph.D.
プロフィール
環境問題や教育制度などについて広い視点から考える自然科学者。2008年に東京大学大学院で博士号(環境学)を取得した後、東京大学、琉球大学、米国オハイオ州立大学、ブルネイ大学など、国内外の大学で研究と教育に約15年間携わってきました。これまでに30報以上の学術論文を筆頭著者として執筆し、国際的な科学雑誌の査読者として多数の論文審査も行っています。
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