論文・レポートの書き方:結論
「論文・レポートの書き方」シリーズは、今回を含めてあと二回(結論と参考文献)になります。今回の記事では「結論」の書き方についてまとめてみました。
結論で書く内容は大きく分けると3つです。
- 結果と考察の要点を短くまとめる
- 「問題を解決することの重要性(大きな目的)」に解答する
- 今後の課題を述べる
❶の要点は厳密には結論ではないので、「結論」の前に別の節を設けて、そこに「要点」としてまとめても良いと思います。❸についても同様に、「結論」とは別の節を設けてもいいでしょう。しかし、実際の学術論文ではこれらの項目は「結論」の中に置かれていることも多いので、本記事ではまとめて解説したいと思います。
結果と考察の要点を短くまとめる
これは文字通り、論文やレポートのなかで得られた結果と考察の要点をまとめる作業です。長い論文(卒業論文・修士論文・博士論文など)では、結果と考察だけでなく、研究の背景や目的などを少し含めても良いでしょう。なぜこの研究を行なったのか(レポートを書いたのか)、結果として何が分かったのか、などについて簡潔にまとめます。次に述べる本格的な結論に入る前に、読者に頭の中を整理してもらうのが目的です。
「大きな目的」に回答する
結論とは、序論で取り上げた「問題を解決することの重要性(大きな目的)」に対する解答です。実験や調査の結果から「小さな目的」が達成されたことはすでに要点でまとめていますが、それがもう一段階上の「大きな目的」を解決するのにどのように貢献できるのか、踏み込んで主張する必要があります。
言い換えれば、調査や実験の結果を少し専門外の誰かに説明したとして、その人からの「それで?だからどうした?」という問いに答えるのが「結論」です。自分が行った調査や実験の意義を広い視点から眺め、序論で取り上げた「大きな目的」に対してどのような提案や解答を示せるのか考えてみましょう。
今後の課題を述べる
最後に、今後はどのような研究を行えば当該分野のさらなる発展や進歩につながるのかを提案してみましょう。研究方法の改良点や結果から見えてきた次の課題など、今回の調査や実験ではできなかったことを挙げることで、読者に次のステップへの足掛かりを示します。論文やレポートを書き上げた著者の提言として、読者にとっては非常に有益な情報となるからです。
次回は「論文・レポートの書き方」シリーズの最終回として、「参考文献」の書き方についてまとめます。
この記事を書いた人
田中泰章 博士
Yasuaki Tanaka Ph.D.
プロフィール
環境問題や教育制度などについて広い視点から考える自然科学者。2008年に東京大学大学院で博士号(環境学)を取得した後、東京大学、琉球大学、米国オハイオ州立大学、ブルネイ大学など、国内外の大学で研究と教育に約15年間携わってきました。これまでに30報以上の学術論文を筆頭著者として執筆し、国際的な科学雑誌の査読者として多数の論文審査も行っています。
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